2010年2月 7日
 ■  寺尾十志大さんプロフィール

●寺尾十志大(俳号)
●日之影町在住
●俳句同人「交響」所属
●ふるさと日之影での生活の中で、人々の暮らし、四季の風景をモチーフに作句。

2008年8月 1日
 ■  2008年葉月の一句

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晩夏光
砥石均すも
業の内


農業で正業を立てるほどの田畑はないのであるが、鎌や鍬などは機械化が進んだ現在でも必要な道具である。
その道具をすぐ使えるようにしておくのも、大事な農業の仕事なのである。
砥石もその道具のひとつ。光るものに焦点を当てて作った一句。

撮影:日之影町中川集落(photo by 牛飼い様)
中川集落は、春のチューリップ祭りで村おこしに取り組んでいる。
しかし、その賑わいはつかの間。
田起こしから荒代かき、代かきを経て田植え。
また、和牛の飼料となるトウキビ作りと、山里の農業に休む間はない。
網はカラス除け。この防鳥ネットを張るのもひと苦労なのである。
昼間は平地と変わらず暑い山里だが、夜はクーラーいらずの涼しさである。

2008年7月 1日
 ■  2008年文月の一句

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雲の峰より
現れて雲の峰


積乱雲はいつでも起こるのであるが、「雲の峰」といえば夏の積乱雲のことで、
垂直に延びた濃い雲が巨大ないろいろな物を想像させる。
その雲の峰が下の雲の峰を凌駕して、また大きくなっていく。
リフレインが似合う季語である。

撮影:日之影町宮水地区にて(photo by ハムサンド)

2008年6月 1日
 ■  2008年水無月の一句

深角の竹林.jpg竹の揺れ
木々に及びて
梅雨兆す

 

 

実際には竹の揺れが木に及ぶなどということはないのであろうが、
梅雨前の風の有り様を考えるとそう思えるから不思議である。
小さい物から大きい物へと影響を与えて、やがて本格的な梅雨がやって来る。

画像:深角の山を臨む竹林。(photo by 深角駅長)

2008年4月30日
 ■  2008年皐月の一句

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青春の
楽譜をめくる
若葉風

 

 

この句は、昨年の同窓会を開いた時のことを詠んだ句です。
中学校を卒業して40年も経つと、いろいろな感情が湧き楽しい時間でした。
それにしても、若いころの友人はいいものだといつも思っています。

photo by 羽衣あられ

2008年3月31日
 ■  2008年卯月の一句

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この邑の 
刻はゆるりと 
桃の花




まだ桜には早いころ、五、六戸の集落を尋ねた。
集落に向かう途中、谷沿いの山腹に淡紅色の花をつけた桃の花がびっしりと咲き誇っている。
田舎でしか味わえない風情を感じる瞬間だ。
そして、ここに住む人々にもゆっくりと時間が流れているに違いない。

画像:日之影のとある集落に咲く紅梅(深角駅長)

2008年3月 2日
 ■  08年弥生の一句

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春疾風 
山もちあげて
山に入る

三、四月の候は、異常に感想した日が続き、また疾風が定常的に長時間巻いて吹く。向かいの山を見ているあの木々の様子はまさに山を持ち上げて山に入っているようだ

画像:日之影町深角地区遠景(深角駅長)

2008年2月14日
 ■  2008年如月の一句

枯蔓を 
解きて一樹の 
位を正す

家の近くに枇杷の大樹がある。夏から秋にかけて、木の頂まで上り詰めた蔓は、今や葉を落として枇杷の木にしがみついている。それを一本一本外してやると、人も木も春に向かって胎動しているように思う。

2008年2月13日
 ■  2008年睦月の一句

1208.jpg銃声後
寒山寂を
深めけり

今、猟期の真っ盛りで、少しだけ山に入るとたまに銃声が響く。
その後、高齢の猟師達が獲物へと急ぐのだろうが、そんな物音は何も聞こえない。
ただ、寒山の静寂だけが迫ってくる。

画像:日之影町と諸塚村の町境にある諸塚山の登山道(深角駅長)